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No.141  人事評価制度を機能させるためには

2025-05-01
こんにちは、アオイパートナーズの齋藤です。
GW真っ只中ということで、製造業などでは11連休というところも多いようですが、カレンダー通りだと大型連休という感じがあまりしませんね。
しかしながら、月末月初の業務多忙を考えると、この日並びで良かったと思っている経営者の方も多そうな気もしています。

さて、今回のブログですが、近年特に相談が多くなっている人事評価制度について、私見を書かせていただきます。

既に人事評価制度を導入している会社でも、多くの経営者が頭を悩ましています。
「自己評価も上長評価も主観的でバラつきが多く公平性を欠いている」
「評価結果と報酬や昇格昇進が適切にリンクしていない」
「上長の定期面談などの負担が重すぎて運用が形骸化している」
「評価制度を導入しても社員のモチベーションが上がらない」

一方で、人事評価制度を導入している会社の社員からも、以下のようなことをよく聞きます。
「会社がどこに向かっているのかわからない」
「何をすれば上司や会社に認めてもらえるのか具体的になっていない」
「賞与や昇格の基準があいまいでわかりにくい」
「この会社で将来自分がどうなっているのかイメージできない」

中小企業でも人事評価制度を導入されている会社が増えてきましたが、
導入の目的に沿った効果を得られている会社は本当に少ないと感じています。
そのような現実の中で、「公平で透明性があって、やる気が出るような制度にしないと、
社員の定着や成長も期待できないし、優秀な人材の確保も難しい」という
危機感を持っている経営者の声をよく聞きます。

私の経験上、経営者が人事評価制度の導入を考える一番の理由は、
給与・賞与・昇格昇進などの正当な査定のため、というのが多い感じがします。
「社員の処遇についてきちんと説明できるようにしたい、その上で納得して頑張ってもらいたい」
という社長の本音もわかります。
しかし、報酬を上げたい、出世したい、休みや時間が欲しい等々、何を大事にするかは人それぞれ。
何が働く人のモチベーションになるのかは、一律ではありません。

もちろん社員の正当な処遇も大事なことですが、私はそれも含めて
「誇りと喜びをもって仕事ができること、この会社で働けて良かったと思えること」が大事だと思っています。
弊社では、その実現に寄与するような人事評価制度の構築と運用の支援に重きを置いています。

人事評価制度の制度設計に際しては、
・等級要件の定義づけ(等級ごとの役割や能力の基準)
・評価項目と評価基準を明確にした評価シートの作成(能力評価、取組評価、成果評価等)
・評価結果の報酬への反映(等級と賃金の紐づけ、賞与査定等)
・運用ルールの設計(評価方法や評価期間、考課者訓練等)
などを検討することになりますが、その前に整えるべきことがあります。

それは、経営理念やパーパスと人事ポリシーの策定です。

経営理念(ミッション、ビジョン、バリュー、行動指針)やパーパス(存在意義)は自社ならではのものです。
自社に合った人事評価制度を実現するための上位概念として、理念やパーパスが明確にわかりやすく表現され、
社内で共有・共感されていることが必須条件になります。

その上で、経営理念と人事制度をつなぐものとして、人事ポリシー(人事方針)が必要です。
・自社が求める人材像
・全員に期待する価値観
・採用・育成・評価についての基本的考え方
これらについて会社としての方針をわかりやすく表現し共有することです。

明確に表現された経営理念(又はパーパス)と人事ポリシーが社内で共有されているからこそ、
その思想を反映した自社独自の人事評価制度が細部にわたって構築され、運用ルールも徹底されることになります。

人事評価制度を導入したがうまく機能していない場合、評価制度設計の前提条件としての思想が整っているか、
その思想を反映させた制度になっているかを、ぜひ検証してみて下さい。
そうなっていなければ、思い切って人事評価制度全体の見直しをした方が、長い目で見て正解ではないでしょうか。
機能していない人事評価制度を継続することは、組織にとってマイナスにしかなりません。

人事評価制度を適切に導入・運用することで、経営者も従業員も含めて、働くすべての人が
「誇りと喜びをもって仕事ができること、この会社で働けて良かったと思えること」を実現できたら最高だと思っています。
そのために、弊社も全力でご支援させていただきます。