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No.7 危機感の共有に必要な「3つの共有」

2021-08-12
こんにちは、アオイパートナーズの齋藤です。
新型コロナの感染拡大に歯止めがかからない中で、「行政と市民が危機感を共有できていないのが最大の問題」という話がありますね。
コロナ対応についてこの場で意見するつもりはありませんが、危機感の共有は会社経営においてもよく出てくる話ですので、今回はこのテーマを取り上げてみたいと思います。


■社内で危機感を共有する目的は何か?

「ウチの社員には危機感がない」という経営者の言葉をよく聞きます。
「社員にもっと危機意識を持たせるにはどうしたらいいか?」と社長から相談を受けることもあります。

「社員がもっと危機意識を持つとどうなるのですか?」
「社員の行動が変わると思います」
「行動をどのように変えてほしいのですか?」
「もっといろんなことにチャレンジしてほしいのです」
「具体的にはどのような行動をしてほしいのですか?」
弊社と社長のやり取りは、こんな感じで進みます。

「社内で危機感を共有する」ことと「社員が危機意識を持つ」ことは少し意味合いが違いますが、
いずれにしても、多くの社長は社員の意識と行動を変えたいと思っているようです。
つまり、危機感を共有する目的は社員の行動をより良く変えるためであり、社長が真に期待していることは行動変革なのです。

とはいえ、危機感を共有できれば社員の行動が変わると社長は思っているようですが、人が行動を変えるのはそう簡単なことではありません。
危機感を共有してどのような行動をしてほしいのかを明確にして、社員に伝え続ける必要があります。


■「情報と知識の共有」なくして危機感は共有できない

では、経営者の皆さんは、社内で危機感を共有するためにどのようなことをやっていますか?

社内で危機感を共有するために必要なこと、それは「情報の共有」です。
さらに、その情報にどんな意味があるのかを知るための「知識の共有」が必要です。
社員が経営者と同じだけの情報と知識を持つことは現実的に不可能ですが、
それでも必要な情報と知識を共有しない限り、社内に健全な危機感は生まれません。
しかしながら多くの会社では、共有すべき情報と知識を明確にすることすらできていないのが実情です。

社員に求められているのは成果を出すこと。したがって社員は目の前の仕事を優先します。
いわゆる、「緊急度」の高い業務ですね。
仕事の優先順位を考えるときは「緊急度」と「重要度」のマトリックスで考えよ!とよく言われるように、
行動を変えるには視点を「重要度」に向けさせる必要があります。
そのために必要なのが、情報と知識の共有なのです。

業界動向の変化、エリア内の他社情報、商品・サービスに対する顧客ニーズの変化、
自社のマネジメントとオペレーションの問題、売上・経費・利益・資金の財務情報など、
経営者が持っている情報の中で、どんな情報を社内の誰と共有しますか?
その情報の意味を正しく理解するには、どんな知識が必要ですか?

まずはこれらを明確にして、はじめて社内で健全な危機感を共有できる土台ができます。
その上で、それらの情報と知識を共有するための仕掛けや教育の仕組み、定着の仕組みをどのように作っていくかを決めることになります。


■重い荷物を一緒に背負ってもらうのは誰?

社長が社内で積極的に情報公開しない理由について、こんなことをよく聞きます。
・いたずらに不安をあおることになる。
・社員には言っても理解できないだろう。
・財務的な情報は教えたくない。良ければ権利の主張をするし悪ければ不安になる。
こういった社長の考え方も問題がありますね。
しかしながら、私も現実的には、全社員と健全な危機感を共有することは難しいと思っています。

ですから、社長の危機感を誰と共有するのかが重要になります。
社長が持っている情報と知識を共有して、社長とともに社内の行動変革をリードすることは、かなり重い仕事になります。
その重い荷物を一緒に背負ってもらうのは誰か?

その前提は、理念(目的・目標・価値観)の共有がしっかりできている人です。
理念がしっかり共有されている人は、信頼できる(信じて頼れる)人です。
逆に言うと、理念を共有できていない人には、重い荷物を持たせていけないのです。

そう考えると、危機に直面しそうな時に危機感の共有を持ち出すのでは遅い。
日頃から、危機感を共有したいメンバーを決めて理念をしっかり共有しておくこと、
その人たちと必要な情報と知識を共有しておくこと、これが現実的にやるべきことです。

「情報」「知識」「理念」の3つをしっかり共有して、健全な危機感を社内で共有していただきたいと思います。