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No.99 報告と提案とフィードバックについて

2023-07-18
こんにちは、アオイパートナーズの久保田です。 

お客様とお話ししていて、よく出る話題の一つに「社員からの報告」があります。
例えば、複数店舗を展開するA社さんの事例。
店長の一人Cさんは、店舗で問題が発生すると、すぐに本社に報告してきます。
本社で対応すべき問題だけでなく、一般的には店長が対応して解決すべき問題までも、です。
取締役のBさんによると、C店長は報告すれば会社側で何とかしてくれると思っている、とのこと。
隠して抱え込んでしまうよりはマシかもしれませんが、基本的には、店長には対応すべきことを行った上で、
必要に応じて結果報告をしてもらわなければなりません。
店長で対応できないのであれば、少なくとも、セットでなんらかの提案はしてもらうべきですね。

しかし、現実としてできていない。
それは、店長が自身の役割を認識できていない、ということです。
言い換えれば、店長に役割を認識させられていないということです。
B取締役に聞いてみたところ、
「確かに、明確に、具体的に店長としてやるべきことを伝えていないかもしれない。
店長であれば、言わなくてもわかっていて、できていて当たり前ではないかと思ってきた」
とのことでした。
ということで、A社さんでは、店長を始め、それぞれの職位が果たすべき役割や何を報告してもらうかを
明確化して示すことに取り組むことになりました。

一方、提案に関する不満もよく聞きます。
こちらは、D社さんのE取締役が話していた、「提案が頓珍漢」という事例です。
E取締役は事業部長を兼務しているのですが、課長のFさんが、顧客とトラブルが発生した時の対応について
取り決めをしたいということで、素案を持ってきたそうです。

その内容は、商慣習や社会通念と離れていました。
そこで、E取締役はF課長に、「いろいろ調べて考え直して」と話したそうです。
とはいえ、F課長には私も会ったことがあるのですが、このような件の案をまとめるのは
おそらく無理ではないかと感じました。
そもそも、自分で調べて案を作れるほどの人であれば、そんな頓珍漢な提案はしてきません。

D社さんは従業員の定着率が低く、F課長も経験が浅い。
残念ながら、自力で起案できないのも無理もないと感じます(現時点では)。
年長者であったとしても、慣れていなければ、どう提案すればよいのかわからない場合もあります。
また、経営者側が見てきたこと、経験してきたこととの差は小さくありません。
それでも、どんな内容であっても、まずは提案することを習慣化し、少しずつ質を高めていかなければなりません。
現場の問題や課題に気づいて対策につなげていけるのは、現場の人たちだからです。

そこで、重要になるのが「フィードバック」です。
フィードバックとは、「目標や目的に向かうために起こした行動について間違っている点や
改善の余地がある点を伝えることによって確実性を高めることのこと」などと説明されていますね。
フィードバックは評価を返すだけのものではなく、内容は有用な情報であるべきであり、
フィードバックの仕方も効果的であり、フィードバックが有効に活用され、改良や改善、
成果につながるものでなければなりません。
このように、フィードバックは反射的な反応である「リアクション」や
意図的な反応である「レスポンス」と異なります。
フィードバックは、「目標や目的に向かうために起こした行動」全般において重要であり、
これは「提案」という行動にも当てはまります。

E取締役はF課長にいろいろ調べて考え直すように話したものの、具体的にどの点に改善の余地があるのか、
案の作成の仕方をどのように変えればよいのか伝えているわけではありませんでした。
これは「フィードバック」というより「レスポンス」に近いと言えるでしょう。
F課長の案を聞いて「頓珍漢だなあ」という思いを無意識に顔に出してしまったとすれば、
それは「リアクション」です(実際に顔に出すことはないでしょうが…)。

従業員の提案に対し適切なフィードバックが行われないと、どのような問題があるでしょうか。
まず「レスポンス」もない場合には、従業員は自分の案の不十分さに気づくことができず、
自分はきちんと提案しているのに、経営陣や上司は動かない、何も変わらない…と不満を持ちます。
また、E取締役に「考え直してみて」とだけ言われたように、具体的にどこをどのように変えればよいか
わからない状態では、自分が関心を持たれず放置されていると感じかねません。
いずれにしても、会社や経営陣、上司に対する信頼は損なわれますし、目指す成果は上がらないでしょう。

ですから、提案に対しては、良いのか、不十分なのか。
提案の見直しを求める場合には、具体的にどの点をどのように改善できるのか。
適切なフィードバックを行うことが大切です。
これにより、人材育成効果も期待できます。
また、提案を採用しない場合には、その理由をきちんと説明することも必要ですね。

ということで、報告は提案とセットで行うこと、提案を受けた側はきちんとフィードバックを行うことを習慣化し、
人材育成と目標達成につなげていきたいものです!