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No.104 経営改善が進まない会社の5つの共通点

2023-10-02
こんにちは、アオイパートナーズの齋藤です。
今年第4四半期がスタートしました。
12月決算の会社では、すでに第4四半期の見込を立てて、ほぼ決算の数字も見えてきている会社も多いと思います。
12月決算ではないにしても、10月から12月はさまざまな経済活動も活発になる時期ですから、しっかりと業績につながる成果を出していきたいものです。

皆さんの会社では、今年第3四半期までの業績は、いかがでしょうか?
弊社は、製造業・卸小売業・建設業・飲食業・専門サービス業など、
様々な業種の会社と関わらせていただいていますが、総じて業績改善傾向にあるものの、
いまいち勢いに乗れない、未来を創る力強さを構築できていない、そんな実感があります。
各社とも、当然ながらさまざまな経営改善に取り組んでいますが、その意思決定や推進のスピード感には、
良くも悪くも各社の組織風土が影響しており、この風土改革は容易なことではないと痛感しています。

どんな会社でも経営課題があり、経営改善が必要です。
必要な手を打つタイミングが遅れれば、経営改善がどんどん遅れてしまうのは当然で、
遅れれば遅れるほど、改革に伴う痛みの度合いが大きくなります。
つまり、財務や人材への負の影響を最小限にとどめるためにも、
「常に先を予測して課題を設定して必要な手を打つ」という習慣化がとても重要なわけですが、
多くの中小企業においては、言うは易く行うは難し、というところでしょう。

売上・粗利は外部環境の影響も受けますが、その環境変化をとらえて必要な手を打つのは、
社内の人たちです。
戦略構築力も戦術実行力も、社内で足りないリソースを社外から取り入れるのも、
その起点となるのは、結局のところ社内の人たちの発想力や計画力や行動力です。
その社内の力を発揮するために、阻害要因があるなら除去しなければなりません。

このような問題意識の中で、経営改善が進まない会社の5つの共通点として、
組織の問題にフォーカスした私見をお伝えします。

1.    健全な危機感が共有されていない
今の実態が赤字であっても、「その事実を伝えると社員が不安になるから伝えていない」
という経営者も多く見受けられます。
危機感がなければ、人は思考や行動を変えません。その方が楽だからです。
健全な危機感を共有するためには、必要な情報の公開と、その情報を正しく理解する知識が必要です。
経営層が、自社の社員の理解力をふまえて、何をどのように公開すべきかをよく検討して、
分かりやすく丁寧に伝える努力をしない限り、経営改善の入り口に立てません。

2.    問題の本質を突き詰めようとしない
「売上が足りない」「外注費がかかりすぎている」「無駄な経費が多い」など、
表面的な問題を取り上げ、現場任せの問題解決になっているケース。
売上高、仕入高、外注費、諸経費などの数字には、必ず意味や背景があります。
前年比、目標比、業界比などで増減を把握し、その数字にどんな意味や背景があるのか、
なぜそうなっているのかを突き詰めなければ、適切な手を打てないのは明白です。
まずは、経営層とキーパーソンで、実態計数と現場情報を集め、
問題の本質(根本原因)を特定する時間をしっかりとる必要があります。

3.    指示があいまい
経営層からも管理者層からも、「何を、いつまでに、どういう状態にするか」を、
現場に明確に指示していないケースも散見されます。
にもかかわらず、思い出したように「あれ、どうなった?」と問われ、
「何やってるんだ!」と叱責されては、現場が疲弊するのは当然です。
加えて、期限とゴールの状態があいまいでは、管理者も適正な管理ができません。
方策を現場に考えさせるなら、必ず提出させて関係者間で合意してからスタートしなければ、
それは現場への丸投げであり管理者の怠慢です。

4.    横連携が機能していない
社内リソースが限られている中小企業だからこそ、社内の情報や知識や労働力をフル活用しなければなりません。
そのためには、部門を越えた横連携が極めて重要です。
組織というのは、放っておけばセクショナリズムが進み、他部門や他者の批判が蔓延します。
部門の壁を越える仕掛けや、それを定着させる仕組みを取り入れる必要があります。
単にミーティングを定例化するだけでは、うまく機能しません。
フォーマルな会議は目的・メンバー・進め方・事前準備等をきちんと設計し、
加えてインフォーマルな場での前向きな意見交換を促進する仕掛けも必要です。

5.    管理機能が弱い
業種の違いはありますが、経営管理、販売管理、生産管理、原価管理、営業管理、
人事労務管理などが挙げられます。
管理という言葉で制約されることを嫌う会社もありますが、
それは管理すること自体が目的になってしまうからです。
管理とは、会社が適正な利益を確保し、未来を創っていくために必要な機能です。
適正な管理にはツールとルールが必要であり、社内で構築できなければ外部のサポートが必要になります。
何のための管理か、その目的に合ったツールとルールを取り入れて管理機能を強化していかなければ、
経営改善の成果を業績に反映させることができません。

以上、私が経営改善の現場に関わっている中で感じていることをお伝えしました。
業績不振の会社はもちろんですが、業績順調な会社でも、経営目標が高いほど経営課題は多くなるものです。
いずれにしても、組織を健全に動かしながら、スピード感を持って経営改善を進めていきたいものです。