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No.108 来年に向けての課題設定はできていますか?

2023-12-01
こんにちは、アオイパートナーズの齋藤です。
今日から12月。
この時期になると、来年に向けて自社の事業をどうスケールしていくか、あれこれと思いを巡らしている経営者の方も多いことでしょう。

中小企業の業績面では、今年は厳しさが増した一年だったように思います。
コロナ禍が明けてマーケット需要が持ち直してきても、その需要の質自体が変わってしまい、既存の事業自体がシュリンクしてきている中小企業も増えていると感じています。
製造業、物販業、飲食業など業種を問わず、またBtoBかBtoCかを問わず、「売り物」と「売り方」の抜本的見直しが進まず、苦戦している中小企業も多く見受けられます。

また、売上低調なだけでなく、仕入コスト、労務コスト、運営コスト等の増加により利益が圧迫され、
さらにコロナ融資で過剰債務を抱えているため返済負担が重く追加融資も厳しい、
という資金繰り悪化の状態になっている事例も多く耳にします。

「目先の売上利益確保の取り組み」と「未来を創るための取り組み」。
この両立を目指して動くことは、かなり難しいことです。
目先では生産性向上やコストダウンに注力することになり、未来に向けては付加価値創造や投資が必要になり、
ある意味では相反する思考と行動が求められるからです。

しかしながら、現実と未来が分断しているはずはなく、
経営者としては未来につながる現実改革の旗振りをしていかざるを得ません。
現実の積み重ねで未来ができるわけであり、
目指す未来に到達するために今やるべきことをやるしかありませんから。
では、今やるべきこととは何でしょうか?

よく、「問題」と「課題」に違いについて質問されることがあります。
それぞれの定義づけについて表現の仕方はいろいろありますが、私は次のように説明しています。
問題とは、辿り着きたい理想の状態とそうなっていない現実とのギャップのこと。
課題とは、問題を解決するために取り組むべきテーマのこと。

つまり、何を問題として特定するかが大事であり、その上での課題設定が必要になります。
会社における問題を拾い上げたらキリがないでしょう。
その中でどの問題を優先的に解決すべきか、その問題を解決するための課題は何か、
このような絞り込みができていないために、経営改善が進まない会社も意外と多いと感じます。

「問題」は「理想」がないと認識できないことになりますが、
「理想」というと「最終的にここに行きたい」「考えただけでワクワクする」というような、
遠い未来の抽象的なイメージだったりします。
それによって組織全体のエネルギーが高まる場合もありますが、
日々の仕事に追われている現場の社員たちにとって、
抽象度の高い目的や状態はなかなかイメージがつかない場合も多いものです。
もちろん、トップが理想を語り、旗を掲げることは必要なことですが、
あまりに抽象的・概念的な理想であるために、社員には全く響いていない事例も多く見受けられます。
もっと現実感のあるものに焦点を当てた方がわかりやすいのに、と常々思います。

理想に向かうための問題特定と課題設定が大事であり、
課題設定も現場の具体的な活動に落とし込まなければ絵に描いた餅。
そのために、理想の状態を遠い未来ではなく1年後とかの近未来に置いて、小さなゴール設定をして、
優先的に解決すべき問題特定と課題設定をしている会社もあります。

「いきなり目標にしてしまうとやらされ感が出て主体性が生まれにくい。
みんなでここに行こうというスローガン的な使い方の方がウチに合っている」とその社長は言います。
「もちろん最終的には部門ごとの数値目標に落とし込むことになりますが」と付け加えて。

例えば、単純に1年後には「成果」や「生産性」をこれだけ上げたい。
それも一つの「理想」の置き方です。
そのために、売り物、売り方、オペレーション、協力体制などについて、
問題(阻害要因)と課題(取り組み)を絞り込んでいくと、
ここを改善すればいいというポイントが見えてきたりします。
そして、課題を設定したら、大事なのは進捗状況の管理。
日々の中で、どこまでどうなっているかを検証し、行動修正していくことです。

来年はみんなでここに行こう。
そのために、優先的に解決すべき問題(阻害要因)は何か。
その問題を解決するための課題(取り組み)は何か。

社内でそのような議論が進む12月にしたいものです。