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No.113 値決めは経営者の覚悟

2024-03-01
こんにちは、アオイパートナーズの齋藤です。

日経平均株価の高値が続いていますね。
これは企業業績を反映したものだからバブルではないとか、いや今の株価や不動産の値上がりはバブル期にそっくりだとかいろいろ言われていますが、私のように株式投資をしていない人や地方の中小企業などにとっては、特に実感はないことでしょう。

株価は景気の先行指標とも言われますが、それも疑問に思っています。
むしろ、日銀のマイナス金利解除も現実味を帯び、社会的な賃上げ圧力も高まり、
原価上昇分の価格転嫁もままならない中で、
中小企業が持続的利益を確保していくのはますます厳しくなると感じています。

そんな中でも、先を見据えてしっかり準備をされてきた経営者もたくさんおられると思います。

ある運送業の社長は、2024年問題を見据えて客先との運賃交渉を真摯に進めてきて、
この4月から全客先の運賃単価アップが実現するとのことでした。
「これを原資に業界でも抜きん出た賃金体系をつくり、社員を確保し、個々の労働時間短縮を実現していく」とのこと。
計画性と実行力に優れた立派な社長です。

また、ある機械部品製造業の専務は、原材料価格の上昇や円安による輸入コスト増、
人件費・光熱費・消耗品等のコスト増を数値化して客先の単価アップ交渉を地道に進め、
15%~30%の単価アップを実現しました。
「これを原資に設備投資を進め、労働条件の見直しと生産性向上を実現していく」とのこと。
この専務の分析力と交渉力にも頭が下がります。

一方では、目標達成や業務改善を主体的に進めることを社員に要求しながらも、
働く環境整備が後回しになっている会社も多く見受けられます。

会社として社員に要求すべきことは要求しなければならない。
しかしながら、その要求に応えようとしない社員もいる。
経営者側も、賃金や労働条件を含めた働く環境が整っていない負い目があるから、
その社員を厳しく正すことができない。
結果として業績回復が遅れ、賃金や労働条件の見直しどころではなくなってしまいます。

さりとて、賃金アップや労働環境整備のコストアップを吸収できる原資を見込めなければ、
経営者としてはなかなか踏み切れないでしょう。

だからこそ、前述の運送業の社長や製造業の専務のように、経営者自ら客先を回り、
価格交渉に当たらなければならない。
または、自社がきちんと利益を出せる価格設定と交渉材料を社員に与えなくてはならない。
その先にある賃金や労働環境の改善を見据えて、生き残りの覚悟を持って取り組まなければ間に合わない。

有名な稲盛和夫氏の言葉である「値決めは経営」、本当にそう思います。
つまるところ、値決めは経営者の覚悟の現れだと思います。
社員も「値上げをすれば顧客が離れてしまうのではないか」という不安を持っているでしょうが、
その不安を払拭し社員に勇気を与えられるのは経営者しかいません。

決してネガティブにならずに、ロジカルに考えて値決めをして、真摯な交渉をしていきたいものです。