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No.117 リソースの管理と拡充が競争力を生む

2024-05-01
こんにちは、アオイパートナーズの齋藤です。
GWの前半が終わり、5月に入りました。
円安の進行や物価高、賃上げなどがレジャーや消費行動に少なからず影響するのでしょうが、お休みの方もお仕事の方も、それぞれの立場で充実したGWになればと思います。

新年後がスタートして1ヶ月、上場企業の3月期決算発表がこれから本格化してくるわけですが、全体としてはどうやら純利益で過去最高を更新するようだ、との報道もあります。
一方で、都道府県別の赤字法人率は以前から6割~7割と言われてきましたが、2023年度はどうなるか、興味深いところです。

さて、私が日々中小企業に関わっている中で、最近特に感じている課題があります。
それは、限られたリソースの中で如何にして業績を伸ばしていくか、ということです。

製造業のA社では「受注は増えているが生産が追い付かず、納期遅れが発生している」。
建設業のB社では「工期の短い案件が多く、外注コストが大幅に増えて利益を圧迫している」。
飲食業のC社では「来店客は増えているが人員が足りず、スタッフに負担がかかりすぎている」。
いずれも、売上を伸ばすチャンスではあるものの、
適正利益を確保していくには非常に厳しい状況だということです。

ビジネスの世界で、リソースとはヒト・モノ・カネに代表されるような経営資源のことを指します。
有形資源としては「人材」「設備」「資金」など、
無形資源としては「時間」「情報」「ノウハウ」などが挙げられます。
これらのリソースを全て内部でまかなえれば強い競争力を持てるでしょうが、
中小企業の場合なかなかそうはいきません。
必然的に外部リソースに頼ることも多く、
むしろ外部リソースを主体としてビジネスを回しているという中小企業も見受けられます。

経営者としては、売上を伸ばせるチャンスがあれば、どうにかしてモノにしたいと考えるのは当然です。
しかしながら「何とかしろ」と現場に丸投げをするのは問題です。
結果として、品質低下、納期遅れ、コストアップなどが発生し、顧客との信頼関係を壊し、
社員のモチベーションを低下させ、利益を確保できない事態に陥りがちです。
忙しいだけで何もいいことがない、
このような負のスパイラルに陥らないように舵取りをするのが経営者の役割といえるでしょう。

経営資源としてのヒト・モノ・カネ・時間・情報・ノウハウなどは管理できます。
これらのリソース管理が、マネジメントの原点であると私は思っています。
それには、有形資源も無形資源も可視化することが前提です。
目に見えないものは管理できません。

内部リソースとして、人材の能力やスキル、設備の稼働実態、手元資金の余力、仕事の時間効率、
共有すべき有益な情報、共有すべきノウハウなどについて、可視化する必要があるでしょう。
さらに、これらの内部リソースで足りない部分を特定し、それを外部からどのように調達するかを選択し、
交渉行動を起こさなければなりません。
ただし、外部リソースに頼りすぎて、
自社の生殺与奪権を与えてしまうことのないように注意するのは当然のことですが。

これらを考えるうえで大事なことは、自社がどこへ向かうのかということ。
つまり、ビジョンと戦略です。
それがあいまいな状態では、足りないリソース(問題)を特定することはできませんし、
内部リソースを拡充することもできません。
問題とは、あるべき状態と現状とのギャップですから。

ビジョンや戦略も描いておらず、自社のリソースの棚卸しもできていない状態で、
目先の売上を上げるチャンスとばかりに、場当たり的に外部リソースを集めることを繰り返していては、
競争力など持てるはずもなく、いずれじり貧になることは目に見えています。

厳しい経営環境の中で、受注が増えたりお客様が増えたり、有益な情報が集まってきたりするのは、
自社に何らかの魅力があるからです。
目先のビジネスチャンスを取り込むために、外部リソースを活用しながら、
どんな内部リソースを拡充していくかをしっかり決めて、そのリソースを地道に積み上げていくことが、
将来にわたる競争力を培っていくことになるでしょう。