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No.118 課題をチャンスに

2024-05-15
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こんにちは、アオイパートナーズの久保田です。
ゴールデンウィークを過ぎ、ゆっくりお休みされた方は気分一新され、その後のお仕事が捗ったでしょうか?
逆に書き入れ時を終え、ずらしてお休みをとり、一息ついたり、お出かけされたりしている方もいらっしゃるかもしれません
(ちなみに、「書き入れ時」と書くのは、商店などで売れ行きがいいため帳簿の書き入れに忙しい時だということから生まれた言葉だからだそうですね )。

お出かけといえば、私も先日、かねてから憧れていた熊野古道の中辺路を歩いてきました。
高速バスや路線バスを乗り継いで滝尻王子に向かい、そこから熊野本宮大社まで1泊2日で歩いて、総歩行距離39km。
疲れた、本当に疲れた…。
でも、それでも、すごく良かった!

とりわけ、印象的だったのが、熊野川・音無川・岩田川の合流点にある
「大斎原(おおゆのはら)」と呼ばれる中洲。
ここは、明治22年(1889年)の大洪水まで熊野本宮大社のあった旧社地で、
神が舞い降りた場所ということで、近年ではパワースポットとして人気だそうです。
大斎原には、日本一の高さ(34メートル)を誇る大鳥居があります。
熊野本宮大社まであと少し、のところに展望台があり、この大鳥居を望むことができるのですが、
それを目にした時の感動といったら…。
長い道のりをなんとか歩き、ゴールまであと一息。
達成感が半端なかったです。
ということで、熊野古道歩き、健脚の方には強くお勧めです!
(歩くのはちょっと…という方でも、バスを活用することにより、手軽に熊野詣で気分を味わうこともできます)。

帰路は、熊野本宮大社からバスで奈良の五條まで出て、そこから電車を乗り継ぎ、
京都で栃木行きの高速バスに乗るというルート。
その、五條まで乗ったバスが良かった、というのが、今回の記事の本題です。

乗ったのは奈良交通の八木新宮特急バス。
途中で地元のおばあちゃんが乗車してきて、3つ目くらいのバス停で降車していました。
近くのお店にお買い物に来たようで、バスが地域住民の生活の足になっているのだなあと思いました。
 
八木新宮特急バスは、実は、全長169.85㎞、停留所の数は168、高速道路を使わない路線では、
走行距離が日本一長い路線とのことでした。
始点から終点までは約6時間30分かかります。
これだけ長いとトイレが気になるところです。
そこは心配ご無用、長いだけに途中で休憩があります。
私が乗った熊野本宮大社から降りた奈良五条までも約4時間かかり、
その間に休憩が2回あるとは聞いていたのですが、これが想像を超えていました…。
1回目は10分間の休憩です。
休憩地の十津川バスセンターに着く前に、バスの運転手さんから
「こちらには、無料の足湯があります。
会社(筆者注:奈良交通さん)が設置しました。
休憩時間は短いですが、せっかくなので試してみてください、源泉かけ流しです」
と案内がありました。
そこで、何事も経験!ということで、チャレンジしてみることに。
トイレに行って、靴とソックス脱いで、お湯に浸かって、足を拭いて、ソックスと靴はいて、バスに戻る…
といった感じで慌ただしかったのですが、短時間でもとても気持ちが良くて大満足でした。
休憩の2回目は、野地(谷瀬の吊り橋)で20分間の休憩。
この吊り橋は、1954年に村民たちの力で架けられ、長さ297メートル、高さ54メートルで、生活用としては日本一長いとのことでした
(長過ぎて20分の休憩で渡りきるのは無理でした)。
生活用なので、通行無料!
なのに、高さはあるわ、ガンガン揺れるわで、スリル満点…。
吊り橋近くの売店では手作りの煮込みコンニャクを購入し、とても美味しくいただきました。
眺めもよく、観光客もたくさんで、路線バスのトイレ休憩のついでではなく、観光バスを利用したかのような気持ちになりました。
この2回の休憩で感じたのは、「課題をチャンスに転換しているのではないか」ということです。
休憩は乗客のトイレ休憩だけでなく、運転手さんのトイレや疲労回復のためでもあるでしょう。
先を急ぐ観光客は、不満を感じかねません。
しかし、そこを逆手にとって、路線バスの観光利用における満足度向上を図っている、そんな印象を持ちました。

路線バスの観光利用の満足度向上を図る背景には、路線バスが置かれている環境の影響もあるのではないかと思います。
というのも、地方圏における地域公共交通は維持が困難な状況にあるという話に触れる機会が、私にも少なくありません。
利用者の減少により、交通事業者の経営状況が. 圧迫され、赤字路線を廃止せざるを得ない等の理由があるようです。
これは路線バスにもあてはまることでしょう。

とはいえ、路線バスは地域住民の生活の足です
(今回も、地元のおばあちゃんが買い物に利用していました)。
そこで、路線バスを維持すべく、収益性を高めるには、観光利用の促進にも取り組んでいく必要がある。
そのためには、話題性を高め、観光利用の満足度を向上させねばならない。
そのような状況の中、奈良交通さんは、不満につながりかねない「休憩」を
うまく「観光」に転換しているなあと感心したのです。
時間が足りない、下車してゆっくり楽しみたい、再訪したいと思ったくらいです。

一方で、従業員(運転手さん)にとっては、そんなに簡単なことではないのではないかと思います。
運転というメイン業務のほかに、新たな別の業務に取り組まねばなりません。
新たなことに取り組むということは、何事であっても、時間的にも心理的にも負担が生じるものです。
運転手さんは、足湯や吊り橋の説明だけではなく、地域の歴史、
数年前の台風被害などについても説明してくださいました。
これには、運転スキルとは異なる、別のスキルも求められることになります。
運転手さんは説明も上手で、とても感じが良く、おかげで旅の印象がかなり高まりました。
間違いなく、地域をお支えになっていると感じました。
その誇りをお持ちになっているのか、会社としても組織風土がよく、従業員を大切にされているのだろうか?
などと思いを巡らせました。

というように、あまりに道中を楽しめたので、思わず「ありがとうございました、すごく楽しかったです!!!」と、
降車時に運転手さんにお伝えしてしまいました(笑)

そんなことで、日本一長い奈良交通さんの路線バス、移動手段以上の魅力がありますので、
機会があったら是非、ご利用になってみてはいかがでしょうか。
きっと、良い思い出になるのではないかと思います。

それだけでなく、様々な経験をすることには大いに意義がありますね。
いろんな商品やサービスからインスピレーションを得たり、
お会いした方々から刺激を受けてモチベーションが上がったりします。
そのような様々なことを経験する機会を自らつくりたい、そして、行ってよかったよ、
お勧めするよと言ってもらえる商品やサービスの提供につなげていきたい、
「課題をチャンスに」変えながら。
そのように私も改めて感じることができた、とても良い旅になったのでした。