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No.122 業務上の事件や事故における「経営者の責任」

2024-07-16
こんにちは、アオイパートナーズの久保田です。

一昨年2022年の9月、静岡県牧之原市で、認定こども園の通園バスの車内に置き去りにされた女の子が重度の熱中症で亡くなりました。
先日、その事件の裁判で、業務上過失致死の罪に問われた当時の園長には禁錮1年4か月の実刑判決が、クラスの元担任には執行猶予のついた禁錮1年の判決が言い渡されました。

今回の判決に接し、改めて、経営者や責任者は重大な責任を負っている、そのことをしっかりと認識する必要がある、そして、為すべきことを為さなければならないと強く感じました。
それは、製造業、サービス業…、どのような業種にも当てはまります。

判決において裁判長は、「(被害者は)教訓になるために生まれてきたわけではない」と説諭しました。
その言葉には、私も強く同意するところです。 
それでも、せめて学ばなければ命に申し訳ない、それは企業経営に携わるものの責務です。

では、経営者や責任者が責任を果たすとはどういうことなのでしょうか。
それは、従業員が意識できるようにする、ということだけでは不十分です。
実際に行動できるようにしなければなりません。
行動できるようにするだけでも足りません。
習慣化しなければなりません。
行動が、重大な事件や事故の防止につながっていなければなりません。

対策項目としては
・機械設備や車両などに安全対策を実施する
・業務オペレーションを適正化する
・ヒューマンエラーは発生するものとして、業務オペレーションに二重三重の防止策を入れ込み、
 どこかで事故や事件の発生を止められるようにする
・従業員に対し、教育訓練と意識付けを計画的に実施する
・業務オペレーションの実施状況や未遂を含めた事件や事故の発生状況について、
 モニタリングとフォローアップといった管理を行う 
・事件や事故の発生を抑えるべく、業務オペレーションや管理の仕組みの改善を継続的に実施する

いわば、当たり前のことを当たり前に行う、為すべきことを為すということです
(業務量の増加が懸念されるかもしれませんが、
そこは業務全体の効率化やポイントを押さえるといったことで対応したいところです)。

当たり前のことが当たり前に行われない、為すべきことが為されないと、
提供する商品・サービスが直接的に事故や事件を引き起こすだけではありません。
商品・サービスを提供する設備やプロセスの不備により、
人命や財産に多大な損害を及ぼしてしまうこともあるでしょう。
いずれにしても、顧客や顧客の家族、従業員、たまたま居合わせてしまった人、協力業者、地域の人、
その他のステイクホルダーも含め、関わる多くの人を不幸にしてしまいます。
ですから、例えば、業務上で車両を使用する場合には運転事故を防止する対策が必要です。
また、業務上で火災が発生する可能性がある場合には防災対策を徹底しなければなりません。
広告や広報活動などにより、発信する情報が人の心身を傷つけることにつながってしまうこともあります。

企業は人を不幸にするために存在するのではありません。
企業の存在意義は、人々がかかえる問題を解消することです。
そうでない企業、世の中をより良くせず、人を幸せにしない企業に存在意義があるとは言えません。
存在意義がない会社は、存続していくことも難しくなるでしょう。
存在意義のある企業になるために、少なくとも、人を不幸にすることのない企業づくりに
従業員とともに取り組んでいかねばなりません。
それは、経営者の責任なのですから。