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No.126 ハラスメントにおける3つのポイント

2024-09-17
こんにちは、アオイパートナーズの久保田です。

ハラスメント、この話題を毎日のように目にしたり耳にしたりしますね。
私も、この夏、約20年ぶりに学生時代の友人2人に会ったところ、2人とも各々の勤務先でハラスメントの加害者に認定されてしまい、処分を受けたり、逆に本人がメンタルを病んでしまったりした…という話を聴きました。
本人たちは、ハラスメントをしたつもりは全くないとは言っていました。
確かに、学生時代の友人たちの姿からは、ハラスメントの加害者になるとは想像もつきませんでした。
が、ハラスメントは、本人が意識していないからこそ起こってしまうものでもあるなあ…とも感じたのでした。

弊社のクライアント企業でもハラスメント問題が発生することがあり、しばしば相談を受けています。
最近では、クライアント企業のU社が、労働局からハラスメント対策の指導を受けました。
労働局に出向くように連絡があり、従業員からの通報があったのか?と人事担当者は戦々恐々としていたところ、
他社との合同指導だったとのことで、ひとまずホッとしたそうです。
合同指導を実施するということに、労働局のハラスメントに対する問題意識の強まりを感じます。

U社では、これまでにも従業員に対し、ハラスメントに注意するよう促してきました。
今回の労働局からの指導を機に、改めて社内で対策を講じていくことになり、弊社もそのサポートを行いました。
対策として、ハラスメント対策に関する掲示を行ったり、これまで男性のみだった社内の窓口に女性を追加、
社内の体制を強化して明示したりしました。
また、特に対応が必要と思われる営業所については、出向いて説明会を実施することにし、私も同行しました。

説明会では、まず、パワーハラスメント(パワハラ)やセクシャルハラスメント(セクハラ)・
マタニティハラスメント(マタハラ)については、
労働施策総合推進法や男女雇用機会均等法・育児介護休業法において、
企業は必要な措置を講じることなどが義務付けられていることを改めて伝えました。

中でも、パワハラについての説明には時間を長くとりました
(というのも、U社ではパワハラが疑われる事案の情報がしばしば寄せられていたからです)。
主な内容は
・パワハラとは、「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、
 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されること」
・パワハラは、必ずしも上司から部下に対してだけでなく、部下から上司に対してや、同僚間でも生じるもの
といったことなどです。

いずれにしても、社内のハラスメント問題には会社として責任をもって対応していく、
相談窓口の体制も改めて強化した、と話しました。

加えて、ハラスメントに関して3つのポイントを強調しました。 
1つ目は、「そもそも、ハラスメント対策は、顧客への責任を果たすために必要である」ということです。
企業はコンプライアンス(法令順守)を徹底し、ハラスメント対策を講じなければなりません、
そして、従業員が安心して働けるように環境を整えなければなりません、
さもなければ、企業への信頼が損なわれてしまいます。
しかし、それだけではありません。
ハラスメントにより従業員が安心して働けないと、十分に情報共有がなされなかったり
心身に不調が生じたりして、業務がきちんと遂行されず、品質不良や納期遅延が発生してしまいます。
コスト増加にもつながり、企業の業績にも悪影響を及ぼすことにもなるでしょう。
そうすると、短期的・中長期的に商品やサービスの提供に支障が生じ、
顧客に対して責任を果たしていくことができなくなるかもしれません。
ハラスメント対策は、「法律で義務付けらえているから講じなければならない」と
言われることが多いような印象を受けているのですが、
そもそも、企業が顧客への責任を果たし、目標とする業績を上げていくために必要なことなのです。

2つ目は、「ハラスメント対策には従業員一人ひとりの意識と行動が重要である」ということです。
会社の責任としてハラスメント対策を行ったとしても、従業員各自が適切な言動を意識しないことには
ハラスメントを是正したり防止したりすることができません。
一方で、ハラスメントを受けたという訴えが被害妄想的なもので、余計な問題を引き起こし、
こじらせてしまっているケースも少なくないと感じています。
自分の言動が、業務で関わる人たちや職場に悪影響を及ぼしていないでしょうか。
自分の思い込みで相手を否定していないでしょうか。
きちんと業務を遂行し、顧客への責任を果たすべく、安心して働ける職場にするように努めるのは、
従業員一人ひとりの仕事の一部です
(従業員各々が自身に向き合い、お互いが相手に思いを寄せるように、
会社側から働きかけ続けることも必要だと日々感じています)。

3つ目は、「ハラスメントを恐れて必要なコミュニケーションをとらないことは問題である」ということです。
最近、業務遂行上で必要なコミュニケーションが行われず、問題が放置されたり、
上役に問題の解決を託したりすることが増えていると感じています
(このような状況についてクライアント企業から相談されることもありますし、
知人からそのような話を聴くこともあります)。
ハラスメントと受け止められるのを恐れているのが原因のようです。
ハラスメントの話題が多いので、コミュニケーションに消極的になってしまうのでしょう。
それもわからなくはありません。
しかし、言動がパワハラとされる要件の一つは、「業務上必要かつ相当な範囲を超えている」ことです。
「業務上必要で相当の範囲内の言動」であれば、パワハラではありません。
ですから、業務を遂行するためには適切にコミュニケーションはとらなければなりません。
それも、従業員の職務の一つなのです
(コミュニケーションが十分に行われるよう、会社としても環境を整えていく必要もあるでしょう)。

以上のような従業員への説明などの対策を実施したところ、U社では、ハラスメント未満のトラブルについて、
従業員からの相談が寄せられるようにはなってきました。
マネジメント職の言動にも変化が感じられます。
とはいえ、このような類のものは、一度対策を実施すればそれでよしというものでもありません。
一つひとつの対策・対応を通じて組織全体の経験値を増やし、
ハラスメント問題が生じにくい組織風土の醸成を目指し、
U社の経営陣やマネジメント職とともに取り組み続けています。