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No.129 HOWの前に二つのWHY

2024-11-01
こんにちは、アオイパートナーズの齋藤です。
今週は衆議院総選挙あり、MLBとNPBの頂上決戦ありで、興味津々のニュース満載だった一週間でした。

特に政治は混迷を深め不安定感を増していますが、我々経営者とすれば、政治がどうあれ自社の業績を上げなければならないわけで、政局に振り回されている場合ではないと思っています。
今年も残り2ヶ月となり、やるべきことに集中して成果を出していきたいものです。

さて「組織を挙げてやるべきことに集中して成果を出す」ということがいかに難しいことか、
経営者の皆さんは日々頭を悩ませていることでしょう。
私自身も、クライアント企業の内部に関わり、経営財務や組織マネジメントの一端を担っていることから、
組織を望ましい状態に導いて成果をあげることの難しさを痛感しています。

経営者の皆さんは、目先の業績向上と未来の事業構築の両方を考えながら、
当面のやるべきことを決めていることでしょう。
しかしながら、業績が厳しくなってくると、当然ながら目先の業績アップを最優先に考えることになりますね。
そのため、どうすれば売上が上がるのか、どうすればもっと利益を出せるのか、
そのやり方の答えを早く見つけようとする思考になりがちです。

これは、経営者のみならず、ノルマを抱えた営業マンも同じ傾向にあります。
考えたり議論したりに時間をかけるよりも、
すぐに行動して修正する方が成果を出しやすいと思っているからです。
はたして本当にそうでしょうか? 私は疑問を感じます。

もちろん、社内で会議を繰り返して良い(と思う)戦略や戦術を考えても、
お客様の反応やニーズを確認しない限り、机上の空論であり絵にかいた餅にすぎません。
そして、大手企業のようなマーケティング機能を有していない中小企業において、
お客様の反応やニーズを確認する手段は、市場との対話しかありません。
それゆえ、WebサイトやSNS、対面でのプレゼンやヒアリング、
試作品提供などのテストマーケティングを通して、
顕在顧客や潜在顧客との対話を繰り返すことは、とても重要だと思います。

でもそれは、社内で議論や対話に時間をかけるより行動することが大事だ、
ということにはならないはずです。
短期的な成果を求めるあまり、議論や対話のテーマが、
どんな戦略や戦術をとるか(HOW)にフォーカスしすぎていることが問題なのです。
本質的な議論を避け、安易に答えを見つけようとする姿勢が問題だと思うのです。

本質的な議論とは、売上や利益があがらない状態はなぜそうなっているのか、
という理由(WHY)の深掘りです。
もっというと、そのWHYの答えを絞り込もうとする姿勢も正しいとは言えません。
なぜなら、多くの場合WHYの答えは複数存在するため、それを絞り込もうとすると、
別の重要な答え(仮説)を排除してしまう可能性があるからです。
まずは複数のWHYを拾い出すことが必要です。

また、WHYには「何のために」(目的)という意味もあります。
組織運営(マネジメント)とは、組織を望ましい方向に導くことですから、
「望ましい状態」の具体的なイメージを共有することが極めて重要です。
これを発信できるのは、経営層しかいません。

自社が社会にどのように役に立っているのか、
個々のお客様にはどのような価値を感じていただいているのか、
自社は何のためにこの事業をやっているのか、などを経営者層が管理者層にしっかりと言葉で伝え、
組織全体に食い違いなく伝播できてこそ、やるべきことに集中できるというものです。

社内会議では、やり方(HOW)を議論する前に、
今の状態に至っている理由(WHY)と何のためにやるのかという目的(WHY)を深掘りすることが大事です。
これをやらずして、対症療法的なHOWを求め続ける限り、行きつ戻りつの堂々めぐりが繰り返され、
時間ロスが積み重なるだけで、組織はますます疲弊してしまうでしょう。

今年も残り2ヶ月、来年に向かっての方向づけもそろそろ考えていかなければなりません。
組織を挙げてやるべきことに集中して成果をあげるために、ぜひ取り組んでいただきたいことです。