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No.132 生産性を高めるために

2024-12-16
こんにちは、アオイパートナーズの久保田です。
前回の記事で、
「業務改善により生産性を高めていくことは、働く人が自己の存在意義を感じるために望ましいことである。
一方で、業務改善はうまく進むとは限らない」
と書きました。
今回はその続きで、業務改善が上手く進むとは限らない理由はなぜか、からスタートです。

業務改善は、現場の実態を踏まえたものでないと業務遂行に支障が生じます。
したがって、業務改善においては、現場で業務に携わっている人の中から担当者を選定して進めていきます。
現場の実態を分かっているのも、改善した業務を遂行していくのも現場の人たちだからです。

ですから、まずは担当者が業務改善に取り組む意欲を持っていなければうまくいきません。
しかし、担当者に意欲があればうまくいくというものでもありません。

例えば、改善の支援をする中で、
「慣れたやり方から変えるのって大変なんですよね。
というか、自分が楽するために、ほかの人の仕事を増やそうとしてるんじゃないじゃないかと思っちゃいます」
など、担当者のことをそんな風に言う人がいたと聞いたことがあります。
このような言葉は「部分最適」な考え方に基づくものであり、「全体最適」に思いが及んでいないと言えるでしょう。

「全体最適」は、会社やチームなど、組織全体が最適化された状態をいいます。
「部分最適」は、全体の中の一部分や個人だけが最適な状態を優先する考え方のことです。
仕事というものは1人で完結することは稀で、多くが複数の人員で作業を分担します。
ですので、仕事のオペレーションを設計したり、改善したりする場合には「全体最適」を目指していくことになります。

ただ、一般的に多くの従業員は全体的な視点を持てるものではありません。
会社について得られる情報が限られており、
時間に限りがある中で目先の業務をこなしていかなければならないからです。
経営者とは視座の高さが異なります。
そのため、「全体最適」ではなく「部分最適」な考え方になりやすいのでしょう。
そして、(自分と同様に)改善担当者も「部分最適」であり、
「担当者自身が楽をするために、ほかの人(自分)の仕事を増やそうとしている」
と受け止めることになるようです。
そんなことで、従業員は改善に前向きにならず、改善担当者は孤立しやすくなります。

そこで、重要なのが、「会社として、全体最適を目指し、改善を推進していく」ことについて、
従業員が納得感を持てるようにすることです。
そのポイントを3点、以前からブログ記事に書いていることも含め挙げてみます。

まず一つ目は、「業務改善を行い生産性を高める目的を関係者に落とし込む」ことです。
生産性を高めて利益を出していくことは、企業が存続し、
現在や将来の顧客により多く価値を提供し続けるために必要なことです。
他社よりも価値を提供できなければ選ばれないのです。
ですから、改善担当者を任命して現場の業務改善を続けているのだ、
と伝えていかなければなりません
(さらに、会社が儲けるため、カネのためだけに従業員に負担を求めていると受け止められないように、
従業員への還元も大切なことです)。

2つ目は、「関係者が改善プロセスと改善後の業務をイメージできるようにする」ことです。
目的や考え方を伝えるだけでは、「もっともなことだけど、難しい…」となりかねません。
各関係者にとって、業務改善のプロセスが可能なものであり、結果として効率的になって負担が軽減し、
より意味を感じられる仕事になることを、できるだけ具体的に会社として伝えることも重要です。

3つ目は、「関係者が情報を共有する場を設ける」ことです。
目的や方法が示されたとしても、全体最適の考え方を持てなければ、行動は促進されないでしょう。
関係者が全体的な視点に立ち、全体最適の考え方を持てるようにするためには、会社の方針を共有するとともに、
他部門や他の人の業務量・所要時間などの状況を共有できるようにする場を設けるといった施策が考えられます。
より多くの、より広範囲の情報を共有することで、関係者が納得感を得やすくなり、行動の促進につながります。

ということで、生産性を高めるべく、「会社として、全体最適を目指し、改善を推進していく」ことについて、
従業員が納得感を持てるようにするための3つのポイントを挙げたものの、簡単なことではありません。
すぐに効果が出るものでもなく、会社、組織の状況によっては繰り返していかなければならないからです。
それでも、続けていかなければなりません
(私も支援する際には、何度も繰り返すよう経営陣や部門長に折に触れてお願いしています)。

さて、2024年の私のブログ記事は、今回が最後。
この記事を書きつつ、クライアント企業が、より価値を提供できる組織になるよう、
支援を行ってきただろうか?と2024年の私についても考えました。
まだ何ができるのか。
何をすべきなのか。
2025年、私もなすべきことを続けていこうと思っているところです。