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No.134 年始に評価制度とコンサルティング業について考えた

2025-01-15
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こんにちは、アオイパートナーズの久保田です。
私の2025年最初のブログ更新です。
目にしてくださった方にとって、何かのきっかけとなるような記事を目指して、今年もなんとか書いていければと思います。
そして、書くことで自分の考えを整理し、弊社の考え方をお伝えしていこうと思います。
本年も、どうぞよろしくお願いいたします。

さて、今回の年末年始休暇、人によっては9連休という曜日の並びでしたね。
いかがお過ごしでしたでしょうか。
年始には、離れて生活している人と久しぶりに会えることもありますね。
私も今回は、県外にある実家に帰省した時に、そのまた別の県在住の親戚ヤッちゃん(仮名)と
久しぶりに会って食事をすることができました。
ヤッちゃんは私より少し年上で、当然まだまだ現役。
ということで、いろいろ話しているうちに仕事の話にもなりました。

ヤッちゃんの話には、以下のようなエピソードがありました
(ちょっと内容を調整しています)。
なんでも、ヤッちゃんが勤める会社では、昨年、評価制度を導入したとのこと。
評価制度導入は、数年前に代替わりした若社長の指揮で行われたそうです
それが上手くいかなくて、退職者が続出したというのです。
若社長はコンサルのサポートを受けていたということでした。

ヤッちゃんは私のことをコンサルと認識しているのかいないのか…、
ずっと前に、会計事務所に勤めてると話したことがあったような気もするけど…、
とりあえず余計なことは言わんどこ…。
と私はドキドキしながら話を聴いていました。

ヤッちゃんによると、導入された評価制度では効率の良い仕事をしているかを評価基準としており、
年配者は非効率な仕事の仕方をしているとして、低く評価されることになったようです。
ヤッちゃんは、
「効率よく仕事をしなくちゃいけないのはわかるけどさあ、今までのやり方は非効率だと言われても、
そんなに簡単に変えられるものじゃないよ。
それに、様子を見ながらの調整も必要だから、そんなにサッサと進められる仕事でもないんだよ。
無駄話するなとも言われるけど、それも大事なんだよ。
社長もコンサルも現場を知らないんだよ」
と言っていました。

ヤッちゃんの会社は事業用の特殊機械を製造するメーカーで、製造には職人的な技術が求められます。
ですから、年配のベテラン従業員が熟練の技術を持つ有力な人材として活躍していました。
ところが、ベテラン従業員たちが、今回の評価制度導入により低く評価されたことに不満を持ち、
再雇用ではなく退職を選んだり、定年前に離職したりしたとのこと。
その後、若手の離職も続いたそうです。
それも、熟練者の退職で従業員1人当たりの負荷が激増し、職場の雰囲気も悪化したからだと、
ヤッちゃんは振り返りました。

さらに、評価制度導入の失敗に際し、従業員に謝罪が行われることになったのですが、
その場に後継社長がこなかったそうです。
ヤッちゃんは
「おかしいでしょ。
それも、コンサルが来なくていいって、社長に言ったんだって。
場が荒れるから!」
と苦笑。
それには、余計なことは言わず、黙って聴いていた私も、
「社長が同席しないのは、社長の求心力低下に繋がるよねえー」
と、思わず口にしました。

続けて、ヤッちゃんは
「しかもさあ、そのコンサル、専門が財務だったんだよ。
評価制度の経験はあんまりなかったんじゃない?」
と、ボヤきました。 

なるほどー、という感じです。
素性を隠した?私も、身につまされる話です…。

評価制度を導入すれば従業員に効率的に仕事をするように促せる、そうすれば業績向上につなげられる、
効率を意識しない従業員は離職もやむを得ない、と社長と財務コンサルタントは考えたのかもしれません。
とはいえ、そう単純ではないんですよね。

ヤッちゃんが言っていたように、やり方を変えることは、変えなければならない人にとって大きな負担になります。
熟練者であるほど、長く続けてきたやり方を変えるのは大変なことです。
また、非効率に見えるところに、作業や業務のコツが含まれていることは少なくありません。
いわゆる、熟練者の「暗黙知」といったものです。
ですから、熟練の技術を要する業務のプロセスを効率化していくには、
熟練者のコツを組織のナレッジ・ノウハウにし、できるだけシンプルにやり易くブラッシュアップして、
熟練者を含めた組織に還元していくことが求められます。
そうせずに評価制度だけで効率を意識付けようとすると、
評価制度は単に賃金を決めるだけのものになってしまいかねません。
低い評価を不当に感じて熟練者が離職すれば、熟練者が持っていたコツが組織から失われることにもなります。

評価制度は適切に導入すれば大いに有用です。
組織の方針を共有し、組織の目標達成に向けて行動しているかを適正に評価することにより、
従業員に意識付けし、モチベーションを高め、人材育成を促し、
組織のモラール(士気)を向上させるものだからです。
結果として、顧客や世の中に、より大きな価値を提供していくという
企業の使命の実現につなげるためのものだからです。
弊社でも注力している支援項目の一つです。

とはいえ、評価制度の導入には、業種や組織の特徴に合わせた進め方が求められます。
また、進捗を確認して調整する必要もあります。
細心の注意が必要ですし、手間も時間もかかりますし、楽なことではありません。
コンサルタントが支援を行う際は、そのような覚悟を持って取り組まなければならならない、
私もそのように思っています。

ということで、年始にヤッちゃんと話をして、評価制度の支援、コンサルティング業について、
改めて考えさせられました。
コンサルティング業は、クライアント企業に価値を感じていただけなければ成り立たない仕事です。
本年も、気を引き締めて支援に取り組んでいこうと思います。
私にとっても、一度の人生、1日のうちで長い時間をかける仕事でもあるわけですから。

みなさま、ともに良い1年にしてまいりましょう。