本文へ移動

ブログ

ブログ

No.11 組織をダメにする経営者の5つの特徴

2021-09-09
こんにちは、アオイパートナーズの齋藤です。
今回のブログでは、弊社がこれまで100社を超える経営者の方々と関わってきた中で、
実体験として感じてきた「組織をダメにする経営者の特徴」についてお話しします。

あくまでも私個人の見解ですが、正しいように聞こえても「これはダメだろう」と思う特徴を5つ挙げてみました。
読者の皆さんが、これから自社をより良くしていくために、反面教師として参考にしていただければと思います。


■夢や理想を語っているだけで現実を見ていない

自分の理想は「関わるすべての人に喜んでもらうこと」と言っていた社長がいます。
社長の本意は、顧客や仕入先や地域の人など外部の人に喜んでもらい、そのことを通して社員に働く喜びを感じてほしいということでした。

実際のところは、社長の意識は外に向き、対外的な関わりに時間を費やし、社内の問題解決は各部門のリーダーに任せきり。
リーダーたちは、自分の部門の主張を通そうとして意見が対立し、全体の調整役がいないまま部門間の連携は悪くなるばかり。

あとから社長が入ろうとしても、状況がわからないから具体的な指示が出せない。
日頃から社内の問題に関心を示さない社長に対し、社員の信頼はまったくなく、社長の話をまともに聞こうともしません。

こうなってしまうと退職者が続出するのは必然。
社長の理想と真逆の現実を招いてしまいます。


■社員に「経営感覚を持て!」と要求する

「自分の仕事に責任を持って、一人ひとりが経営者のつもりで仕事をするように」と要求する経営者も多くいます。
そう言いながら、ネガティブな情報や都合の悪い情報は開示しない。
社内の仕組みの問題、社外とのトラブル、利益や資金繰りの情報などは一切伝えない。

どんなに能力が高い社員でも、知り得る情報が制限されていたら、経営者と同じように考えられるわけがありません。
そもそも、経営経験のない社員が経営感覚なども持てるはずもありません。

適切な経営感覚を持ち続けなければならないのは経営者に決まっています。
「経営感覚を持て!」という要求は、経営者の責任を社員に転嫁していると思われても仕方がありません。


■ちゃんと考えずに「やってみないとわからない」が口ぐせ

「チャレンジすることが大事。やってみないとわからないからまず動くことが大事だ」が口ぐせの経営者。
仕事に取り組む姿勢としては正しい要求だと思いますが、その反面「できないと言えない」空気感を生み出す懸念もあります。

幹部社員から「やってみなくてもわかるでしょう」と突っ込まれても、「やる前からそんなことでどうするんだ!」と叱責する。
実際にやってみると、想定されていた通りのことが起こってうまくいかない。
すると「ダメならしょうがない。気持ちを切り替えて次に行こう!」となる。
時間と経費を大きくロスして、業績は悪化し、社員はどんどん疲弊していってしまいます。

考えるべきことをしっかり考えた上で、大胆に行動することを要求するべきです。
ちゃんと考えた上で「できない、やらない」という選択もあって当然です。
「やってみないとわからない」を口ぐせにする経営者は、社員に考える機会を与えていないということであり、
経営者自身も考えることから逃げているように見えます。


■みずから社内の秩序を乱す

「社内のルールを整えたいので協力してほしい」という依頼を受けることがあります。
人は組織のルールの中で動くものであり、ルールがあるから自由が生まれるわけなので、社内ルールを整えることは大事なことです。
弊社は、「ルールを作って一番大変になるのは経営者自身ですよ」と伝え、了解を得た上で支援を始めます。

しかし、行動規範をはじめとした社内ルールができあがり、「経営者の率先垂範が大事」と伝えて「わかりました!」と言いながら、
それは次第に社員に守らせるものとして使われるようになっていきます。
経営者は組織の外にいて、そこから全体を俯瞰しているような意識になりがちです。

ルール違反の社員を部門長が注意すると、「社長と専務がやっていないのになぜ自分たちが責められるのか」と反発されてしまいます。
「決められたことを守る」という意識がなくなった組織は、当然バラバラになっていきます。

社内の秩序を乱すのは問題社員ではありません。経営者自身です。


■権限移譲という名の丸投げをする

「ウチはリーダーたちに権限移譲しているので、みんな自主的に動いてくれている」と自慢げに話す経営者もいます。
「リーダーに任せることが成長につながる」とも言います。
確かにリーダーに訊くと、「社長は方向性さえ出してくれれば、あとは自分たちが考える」と言います。

リーダーが自主的に考えて動いているように聞こえますが、これは経営者の丸投げ体質の裏返しであり、
丸投げされて困っているのがリーダーたちの本心です。
「社長がせめて方向性ぐらいは出してくれないと戦術を考えられない」ということです。

権限委譲という名のもとに、戦略を考えようとしない、現場を見ようとしない、やるべきことを放棄している。
これは、経営者が権限委譲という言葉を都合がいいように利用しているだけに見えます。
権限委譲は必要なことですが、それはどういうことなのかを正しく理解した上で実行してもらいたいものです。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
組織をダメにする経営者とは、結局のところ
・「経営という仕事の本質」と「経営者の役割」を認識していない
・「真摯さ」と「覚悟」を持って行動していない
ということに尽きると思います。

経営には、外部環境や内部環境の変化に左右されない、不変の原則があります。
そういった経営に関する不変の原則を学ぶ場として、弊社では「1day経営講座」を開催しています。
興味のおありになる方は、ぜひお問い合わせ下さい。