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No.136 コンセプトと価値向上について

2025-02-17
写真はイメージです
こんにちは、アオイパートナーズの久保田です。
立春から2週間経ちました。
とはいえ、今年は寒気の影響で、なかなか春を感じられませんね。
まだまだ温泉が恋しくなります。

そんな中、母の誕生日のお祝いで箱根に行ってきました。
母は老い先が気になる性分で、折に触れて質の良い経験をしたいと願いつつも日頃はつましく暮らしています。
その母が憧れていた旅館への宿泊を企画したのですが、期待に違わない素晴らしいお宿で、母は「一生の思い出」になったと喜んでいました。

人気の一流のお宿の中には、どこか堅苦しかったり、
敷居の高さや居心地の悪さを感じさせられる場合もあったりします。
が、今回は全くそんなことはありませんでした。
上質さと温かさが両立していて、絶妙だったのです。
そして、サービス・接客・お食事・客室や館内の雰囲気・お風呂…、
様々なものの辻褄が合って調和していて、違和感が全くありませんでした。

そこに感じたのが
「どのような顧客にどのような体験をしてもらうか」というサービスのコンセプトが明確であり、
そのコンセプトに基づいて様々な意思決定がなされ、従業員の教育が行われ、
日々の業務が遂行されているのだろうということです。
また、顧客への情報発信もコンセプトに基づいて適切に行われているために、
届けたい顧客層に届けたい情報を伝えることができているため、
期待と異なることがなかったのだろうと感じました。

経営資源には限りがありますから、その配分をどうするかは顧客が受け取る印象を左右します
(食事は伝統的な日本料理なのに接客が元気過ぎる、とか、
アメニティは良いけれど設備修繕されていない、とか、
広告からのイメージと実際が異なっていた…といった感じです)。
ですから、全く違和感がなく、調和した素晴らしい体験ができたのですからお見事でした。

一方、宇都宮に戻り、箱根の宿の素晴らしさを振り返っていて、ある企業のことを思い出しました。
その企業では、経営者の夢を実現すべく上質かつ高級なサービスを提供しようとしました
(事業内容としては美容業や飲食業などのサービス業をイメージしていただければと思います)。

外観も内装も高級な建物を建設し、高価な設備を入れ、高級な材料を使用。
そのため、サービスの価格は高く設定されました。
しかし、従業員を集めようにも、地域での採用です。
高給な建物、高級な材料に見合う、上質かつ高級で高価格のサービスを提供するに足る
スキルや資質を持った人材はなかなか集まりませんでした。
そもそも、その企業が提供するサービスは、その性質上、地域の人々向けのものにならざるを得ませんでしたが、
地域の人々のニーズには合致していませんでした
(地域の人々は、もっとリーズナブルで必要かつ十分な内容のサービスを求めていたのです)。
結果、サービスは商圏に合致せず、事業を継続できなくなりました。
これが都市部だったら、あるいはうまくいっていたのかもしれません。

前回、代表の齋藤が「収益性を上げる事業ポジショニングの再考を!」というブログ記事を投稿しましたが、
この事業に失敗した企業は「収益性を上げる事業ポジショニングを行えていなかった」ということです。
というか、「収益性を上げられるような事業ポジショニングを行う」という発想がなかったと思われます。
ですから、自社が提供するサービスを買ってくれる顧客がいる場所(市場)を選べなかった。
かといって、選んだ場所(市場)にいる顧客に合わせたサービスを設定しようともしなかった。
そして、そのサービスのコンセプトは、設定されたとしても、
選んだ市場にはいない顧客に対して提供するサービスについてのものであり、
空疎なものでしかなく、当然ながら事業を成功させるのは困難です。
事業の成長や成功においては、適切に事業ポジショニングを行った上で、
明確で具体的なコンセプトを設定することが重要です。

顧客にとっても、商品やサービスのコンセプトが明確であることは望ましいことです。
選びやすく、期待外れが無く、一貫し調和した商品やサービスの価値を体験することができます。
買ってよかった、利用してよかった、ということです。
それは、非日常で特別なものだけでなく、日常的な体験も同様です。
世の中でよい商品・サービスが体験され、世の中が潤っていきますように。
よい商品・サービスの提供を支援していけますように。
そんなことも思った、箱根の旅でした。