本文へ移動

ブログ

ブログ

No.15 社長からのご相談「会議で社員の発言が少ない!」

2021-10-07
こんにちは、アオイパートナーズ久保田です。
R社のY社長とお話ししていた時、ご依頼を受けました。

「ウチの会議、参加者の発言が少ないんだよね。
本当は、会議は皆に発言してもらって議論する場にしたいんだけど、一部の人間しか発言しなくて…。
そうだ、久保田さん、ウチの会議に参加してみてくれないかな?
オブザーバーでいいんで。
で、後で感想聞かせてくれない?」

その時、いくつかの原因が頭に浮かびました。
とはいえ、実際の状況を見てみないと何とも言えません。
まずは、直近の月次会議に参加させていただきました。

月次会議には、社長、R社の5店舗の責任者・副責任者、本社の総務部長が参加されました。
会議では、各店舗からの売上等の定例報告と、事前に伝えたテーマについての話し合い、
その他の連絡や情報共有が行われることになっています。

店舗の定例報告が粛々と進められ、その後テーマについての話し合いに移りました。
「今日のテーマは事前に伝えてある通り、○○です。
それについて皆さんの意見を聞かせてください。」
総務部長の進行で話し合いが始まりました。
しばらく話し合いが行われましたが、発言したのは数人。
社長の言っていたとおりです。
発言者は社長と似たタイプの方と見受けられました。

そのほかの参加者は聞いています。
総務部長も他の参加者から発言をなんとか引き出そうとして指名するものの、
「○○さんの意見でいいと思います。」というような言葉が出てくるばかり。
会議には、私が業務の相談をされたことのあるMさんも参加していたのですが、Mさんも聞いている側でした。

テーマは複数ありましたが、終始そのような様子のまま会議は終わることになりました。
私はオブザーバーとして参加したので、話の流れを見ていましたが、
もっと深められる(深めるべき)点があると感じました。

会議終了後、私は聞いてみたいことがあり、店舗に戻ろうとしたMさんに少し時間を取ってもらいました。

久保田
「Mさん、会議、自由に発言しづらいですか?
普段からいろいろ考えているMさんも発言していなかったですね。」

Mさん
「そうなんです、なんか発言しづらくて…。」

久保田
「それって、自分の意見を言ったときに否定されることが多いってことですか?」

Mさん
「そうそう、言っても無駄だなと思うし、微妙な雰囲気になって、
周りにどう思われてるんだか気になるし、疲れるだけだし…。
発言したほうがいいのは分かってるんですけどね。」

久保田
「○○さんはよく発言してましたよね。」

Mさん
「○○さんは、社長の考え方と似ているから…。」

やはり、感じていたとおりです。
R社さんの会議では「心理的安全性」が十分に確保されていませんでした。
「心理的安全性」とは、職場で誰に何を言っても、どのような指摘をしても、
拒絶されることがなく、罰せられる心配もない状態のことをいいます。
そのような状態にできれば、会議でも発言が増え、会議の質も高まりますが、
「心理的安全性」はすぐに醸成できるものでもありません。
そこで、さらに質問してみました。

久保田
「そうしたら、意見を言うのではなく、論点をあげるのだったらどうでしょう?
自分が思っているというだけでなく、会社にとってのメリット・デメリット・リスクや、
お客さんがこう言っていたので、とか。
まずは皆んなで論点を洗い出して、そこから整理するという流れです。
それから、自分の意見として言いたいときは『個人的には』、と付けると、
個人的なことなので否定されづらくなります。」

Mさん
「論点ですか、なるほど~。
それだったら、自分が否定される感じはしないですもんね。
発言できそうな気がしますね。
『個人的には』もよさそうな感じですね。」

その数日後、社長と総務部長に、Mさんとのやり取りを踏まえ、
会議についての所見を報告しました(Mさんと話したとは伝えませんでしたが)。

・「心理的安全性」が確保されておらず、安心して自由に発言できる場を構築できていない。

・「心理的安全性」の醸成にはそれなりに時間がかかるため、会議の話し合いを「意見を言う」というより、
 「論点をあげ整理する」場と位置づけ、発言しやすくする。

・「論点をあげる」ことを意識することで、会議での発言を活発にするとともに、
 日常的なコミュニケーションのあり方を変えていき、「心理的安全性」の醸成につなげる。

そのような報告を受け、Y社長は、
「確かに、誰がどんな意見を言うかを見ていたかも。
論点を洗い出すという方向性にしてみようか。」
とおっしゃっていました。

総務部長は、
「そうですね。
私も進行の中で、聞く側から否定的な反応が出たら、論点を洗い出すことに意識を向けるようにしてみますね。」
と、会議の進め方を変えてみると話していました。

それでも、簡単に変わるものでもありません。
参加者が意識して行う中でその意義を実感することで徐々に定着していくものです。
それには、進行役である総務部長などによる継続的な意識づけが求められます。
私も、発言が活発で有意義な会議になるよう、引き続きサポートを行っていきたいと思います。