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No.36 組織で共有すべき価値観とは?

2022-03-10
こんにちは、アオイパートナーズの齋藤です。
今回のブログでは、価値観についての私見を書きたいと思います。

弊社は、企業理念の策定・共有のサポートをしております。
企業理念は、ミッション(存在意義・目的)、ビジョン(ありたい未来像・目標)、バリュー(大切にする価値観)という構成で言語化します。
特に中小企業においては、これらの理念の根本に経営者(特に社長)の強い思いがなくてはなりません。
なぜならば、経営者の強い思いがなければ、次々に降りかかる困難な状況に立ち向かう活力が生まれず、楽な手段で場当たり的な問題解決に走ったり、無責任な人の意見に安易に流されたりしてしまうからです。
そのような考え方に基づいて、弊社が企業理念策定のサポートをする際には、まずは経営者個人の思いを言語化していきます。

そのような理念策定・共有にあたって、「価値観を統一することが正しいのか?」
という質問を受けたことがあります。
個性を活かすことが大事、多様性を認めることが大事だと言われる中で、
組織で価値観を合わせることが本当に正しいことなのかと…。

価値観とは、何に価値があるかというモノの見方や考え方であり、思考の物差し、
思考の判断基準になるものです。
価値観の「観」とは、仏教では「ものごとの表面的な有様を突き抜けてその本質を見透す智慧」
とも言われているようです。
「人生観」とか「世界観」とかでも使われますね。
当然ながら、この「観の目」は人によって違います。
それを合わせようとすることは正しいのかどうか、皆さんはどう思われますか?
組織で価値観を共有するとは、どういうことなのでしょうか?

まず、価値観には「個性」があります。
平たくいえば「好き嫌い」と似たものです。
何を価値あるものと思うか、何が好きで何が嫌いかは、人の数だけ違うでしょう。
違っているからこそ、一つの事象を様々な視点から捉えて、違う意見を言い合える。
自分では気づかない視点や発想に触れることで、新しい気づきが生まれる。
これが、チームや組織において多様性を活かすということでしょう。
したがって、「個性」は同質化してはいけないものです。

一方で、価値観には「レベル」があります。
レベルですから、低いか高いかということになります。
低い価値観とは、「今だけ、カネだけ、自分だけ」という考え方。
どうなるかわからない未来より今が良ければそれでいい。
カネさえ儲かれば他はどうでもいい。
自分さえ良ければ周りはどうなってもいい。
もちろん、「今」も「カネ」も「自分」も大事なのは当たり前ですが、
これがすべての判断基準になってしまう価値観が、低いレベルの価値観というわけです。

組織で価値観を合わせるということは、「個性」ではなく「レベルの高さ」を合わせるということです。
今だけではなく、より良い未来を創っていきたい。
カネだけではなく、カネで測れないものも大事にしていきたい。
自分だけではなく、周りの人たちの役に立っていきたい。
このような価値観を一人ひとりがしっかり肚に落としていなければ、いい組織やいい会社は作れません。
高いレベルの価値観を組織で持つべき共通の価値観として共有し、それは具体的にどうすることなのか、
わかりやすく言語化していくことがとても大事です。

個人であれ組織であれ、ものごとがうまくいかないのは、判断基準となる価値観に問題があることが多い。
身に付けたものが足りないから失敗するのではない。
身に付けてはいけないものを捨てられないから失敗する。

自分の価値観が絶対正しいと思っている人に、成長はありません。
うまくいったこと、うまくいかなかったことを振り返り、自分はどんな価値観に支配されてきたのかを自己認識する。
その上で、その価値観を一旦脇に置いて、うまくいきそうな考え方や価値観に思考の軸を移してみる。
それでものごとがうまくいけば、それが成功体験となり、新しい価値観が自分の中で培われていく。
このようなことを繰り返していくことが人として成長するということであり、
私自身もこういう姿勢を持ち続けたいと思っています。