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No.50 値上げが許容される商品・サービスづくりが必須

2022-06-23
こんにちは、アオイパートナーズの齋藤です。
今週は一段と円安が進み、火曜日には1ドル136円台と約24年ぶりの円安ドル高水準になったとの報道がありました。
企業の原材料調達コストが増加し、社会的に価格転嫁(値上げ)も一段と加速しているようです。

弊社のクライアント企業においても、社内の生産性向上だけでは採算の悪化に歯止めをかけられず、やむを得ず値上げ交渉に踏み出しています。
製造業(部品加工)においては、鋼材の仕入れ価格の高騰、外注加工費の増加に伴い、30%程度の単価アップ交渉に踏み切りました。
過去にはなかった値上げ幅です。
また飲食業(法人、個人向け)においても、仕入食材の高騰や光熱費の増加の影響を受け、まずは事業所向けの提供価格を20%~30%値上げする交渉を始めました。
合わせて店舗(一般消費者向け)のメニューや価格構成の見直しも進めているところです。

値上げについては、BtoB(企業間取引)の方がBtoC(消費者取引)よりも、踏み出しやすいものです。
その理由として、BtoBの場合は、個別交渉が可能であること、従来からの継続的取引があること、
値上げ環境の理解を得られやすいことなどが挙げられます。
一方で、BtoCの場合は、値上げが売上にどう影響するか読みにくいものです。
個々のお客様の顔が見えない、自社の商品・サービスへの期待が把握できていない場合、
「値上げをしたら顧客が減るかもしれない」と不安に思って値上げに踏み切れないのも当然の心理です。

一般的に顧客が受け取る価値は、価格メリットと非価格メリットがあります。
価格メリットとは、単純に他の似たような商品・サービスと比べて安いかどうかです。
つまり、他の何かと比べて、または過去の価格と比べて安いか高いかを判断し、
安ければ買い、高ければ必要最低限に抑えるという購買行動になります。
一方で、非価格メリットとは、価格以外の部分で商品・サービスの魅力や必要性を感じるかどうかです。
品質、スピード、利便性、安全性、心地よさ、優越感なども非価格メリットの一部です。
これらは、相手が法人であれ個人であれ、顧客の価値観を充足するものですから、
それぞれの価値観に当てはまったら、購買行動を左右する力は価格メリットよりも強くなります。

ある調査では、中小企業において価格競争型企業と非価格競争型企業のどちらが多いかといえば、
圧倒的に価格競争型企業が多いようです。
価格の安さではなく、他社にはない価格以外の付加価値を売りにしている中小企業はまだまだ少ないと言われています。
その企業からしか買えない商品・サービス、その企業を応援したくなるような組織風土やブランド。
これらはリソースの限られた中小企業においてはハードルが高いのは事実ですが、
一方ではこれらの非価格価値で社会から支持されている中小企業が存在するのも事実です。

値上げが許容されるということは、価格決定権を持っているということです。
価格を自社で決められる状態になっているからこそ、環境変化に柔軟に対応でき、
長期安定的な利益を確保することができます。

自社の商品・サービスが、顧客にとって「無くては困る」「応援したい」状態になること。
自社が価格決定権を握ること。
これらは、値上げ云々に関わらず、企業が存続するうえでの根本的な課題です。
今こそ抜本的な改善・改革が必要な時です。