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No.62 「真摯さ」について考える

2022-09-22
こんにちは、アオイパートナーズの齋藤です。
日々ニュースを見ていると、どうしても政治家や経営者の発言や姿勢に触れることになりますね。
「批判を真摯に受け止める」「問題に真摯に対応する」などの言い回しをよく聞きますが、その発言や姿勢に「真摯さ」を感じられないと思ってしまうこともあります。
そんな時には、あらためて「真摯さ」について考えさせられます。

「真摯」とは、一般的に「まじめで熱心なこと」と解釈され、類義語として「誠実」「実直」「ひたむき」などが挙げられます。
私は企業経営を支援する仕事をしているので、この「真摯さ」を考えるときは、ドラッカーの言葉を思い出し、
企業のマネジメントを担う経営者やマネージャーが持つべき「真摯さ」とはどんなことかと考えます。

ドラッカーは、「マネージャーが初めから身につけていなければならない資質が一つだけある。
才能ではない。真摯さである」と言っています。
さらに、「真摯さに欠ける者は、いかに知識があり、才気があり、仕事ができようとも、
組織を腐敗させる」とも言っています。

私は、「真摯さ」とは単に「まじめ」「熱心」「誠実」「正直」というだけでなく、
「言行一致」「一貫性」「自責」というニュアンスも含まれると解釈しています。
言っていることとやっていることに違いがない、言っていることの本質にブレがない。
そこには、人として信頼されるような内面的な強さも必要です。
まとめると、「不変の誠実さと強い信念を持って仕事に取り組む姿勢」と理解しています。

意思決定はトップリーダーの役割であり責任であることは、経営者なら誰でも認識しているでしょう。
それゆえ、「トップ層がゴールを決めて、ミドル層がやり方を考えて実行する」という役割分担が
正しいと思われがちです。
確かに間違いではありませんが、はたしてそれは経営者として真摯な姿勢と言えるのでしょうか?

もちろん、頑張ってやっと手が届くようなストレッチ目標を設定し、
チームを担うミドル層にその達成を要求することは、ミドル層自身の成長にとっても必要なことです。
しかし、ゴールに到達する道筋をまったく示さないまま、「やり方は自分で考えなさい」と
要求する経営者も案外多いものです。
そして、成果があがらなかったときは、「成果が出ないのはやるべきことをやっていないからだ」と
叱責してしまう。
ミドル層からすれば、丸投げで無責任な経営者に見えてしまう。
こうしてトップ層とミドル層の対立関係が生まれ、それが組織全体に悪影響を及ぼしてしまいます。

企業という組織において最も大事なことは、成果をあげること。
すなわち、顧客に喜んで買ってもらえる商品・サービスを提供し続けて、顧客を創造すること。
これを実現するということに、トップもミドルも真摯であるべきです。

もちろん、私が知っている社長の中には、真摯さを感じる方も多くいます。
部下に高い目標を与え、厳しい要求をしつつも、そこに到達する考え方や道筋もしっかり伝えています。
それでいて、自分のやり方に固執することなく、部下の創意工夫を促し、時には称賛し、
時にはアドバイスしています。
自分が意思決定したことを成功させるために、問題解決の先頭に立つという覚悟を
持っていることが伝わってきます。
そういう社長の会社では、自然と「それは社長がやることではない。自分たちがやります」
という言葉がミドルから出てきます。
社長は決してそういう言葉を期待していないとわかっているからです。

組織マネジメントを担うトップ層もミドル層も、不変の誠実さと強い信念をもって
組織の成果にこだわり続ける真摯さを持ってほしい。
それぞれの立場で、人として本来持っている真摯さに、純粋に向き合っていきたいものです。